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《スタッフコラムNo.14》アラビア湾岸の小さな国で雨と水煙草に煙る夜を過ごした話 Written by Tomoko

2023.07.07

こんにちは、初めまして。今回ひょんなことから思いがけずこのコラムを書くことになりましたTomokoです。

今まではもっぱら読む側で、同じオフィスで働く仲間の知られざる旅体験や偏愛の話を楽しんでいたのですが、つい先日、仕事の合間にスタッフ松下と話をしていて「旅といえばクウェートに行ったことあるけど」と言ったら「そのトモコラム読みたい!!」と乗せられてしまいまして、ついその気になった次第です。

 

私が仕事や勉学で世界のあちこちを旅していたのはもう何年も前になり、写真が残っていないことも多いのですが、脳内ポラロイドの記憶に残る光景を少しでもみなさんにお伝えできればと思います。どうか暫しの間ごゆるりとお付き合いください。

 

さて、みなさんは「アラブ」「中東」というとどんなイメージがありますか。
灼熱の太陽、ヤシの木、砂漠・・・。私も行く前はとにかく「暑い」「乾燥」「晴れ」の一辺倒と思っていました。それまでアラブ首長国連邦のドバイには何度か行ったことがあり、クウェートも似たようなものだろうと思って旅支度をしたのです。
でも実際にクウェートに行ってみたら、地元の人もこんなことは滅多にないと驚くような「土砂降りの雨と雷」で「肌寒く」「ずぶ濡れ」になるという体験をしました。

 

クウェートはアラビア湾に面し、イラクとサウジアラビアに囲まれた小さな国です(面積は日本の四国ほど)。石油の産出量が多く、都心部は高層ビルが立ち並ぶ近代的な街並みですが、車で少し郊外に走ると茫漠たる土地が広がっています。

 

(ホテルの窓から)

 

私達はドバイから空路でクウェートに入り、日中は仕事の関係者と都心部のオフィスで会議をしたり、その後は車で移動しながら仕事関連の施設を訪れたりしました。その時はまだ青空が広がっていたのです。

 

(車窓から)

 

ところが、夜になって仕事終わりに食事に行きましょうという頃から天気が怪しくなってきました。訪問先の郊外から車で都心部に戻ろうとしていたのですが、その途中であれよあれよという間に空が掻き曇り、ピカッと光が走ったかと思うと「ガラガラドッシャーン」と雷が鳴ってザザーっと滝のような雨が降ってきました。車窓から外も見えないほどの水しぶきです。

 

(雨に曇る車窓)

 

こんな天気では車の運転も大変ですし、傘の用意もない身とて雨の中で行動するのは濡れるし面倒だし気が滅入るなあと心の中で思っていたところ、なんと、同行していた車中のクウェート人たちは歓声をあげて大喜びしているのです!

「こんな大雨は年に二回位しかない」
「恵みの雨だ」
「日本からの客人が雨を連れてきた」

とまるで雨乞いをしていたかのように大歓迎、私達一行の中にいたかもしれない雨男・雨女は大いに感謝されました。

 

(雨に煙る夜の街角)

 

そのお礼かどうか、夕食を共にした後、私達は地元の人たちが行くという「水煙草のカフェ」に行かないかと誘われました。実は私、いわゆる紙煙草は大の苦手でして日本に居る時は「喫煙可」のレストランには行けないくらい煙がダメなのですが、この時はつい異国情緒に流され新体験への好奇心で付いて行ってしまいました。

 

(カフェで水煙草を楽しむ人たち)

 

カフェの中に入ると薄暗く、静かで、空気が水煙草の煙でうっすら曇っています。でも不思議と煙の匂いは気になりませんでした。私達のテーブルにも水煙草の器具一式が人数分運ばれてきて気づいたのですが、水煙草には色々なフレーバーがついていて、それがフルーツ味だったりハーブ味だったりスパイス味だったりするのですが、甘い風味も多いのです。
自分で好きなフレーバーを選んでオーダーすることができます。大きなポットでお茶も運ばれてくるので、お茶を飲みながら仲間とおしゃべりをしつつ、水煙草を吸ってゆったりと時間を過ごすのが地元の人たちの楽しみのようでした

 

(水煙草の器具)

 

夜も更けてカフェを出ると、雨に濡れる街が夜の闇の中に沈んでいました。雨は小降りになっていましたが、冷んやりして肌寒く、薄着の私たちは震えるくらいでした。

 

(雨の夜更け)

今でも私は「クウェート」というと、雨に濡れた夜の石畳と、水たまりに揺れる街の灯の光景を思い出すのです。

 

スタッフTomoko