Coffee Journey Vol. 20「エルサルバドル:Las Brisas」-Written by バイヤー小林
2025.05.092015年、国内で6,656件の殺人発生、10万人あたり約116名の殺人被害。
当時、世界最悪の数字。
ちなみに、日本は0.7件。つまり、日本の約150倍。これが、中米エルサルバドルです。

街はギャングにあふれ、昼夜問わず、街中では強盗事件が起きる。そしてその先に、上述の殺人が。わたし小林邦宏も、これまで、中米の国はすべて訪問してきました、エルサルバドルを除いて。理由は、
(この国だけは、自分でリスクマネジメントして安全に滞在しようがない・・・)
2019年、そんなエルサルバドルに変化が訪れます。大統領にはナジブ・ブケレが就任(※2025年4月現在も現職)。賛否両論はありますが、結論として、街からギャングを一掃することに成功したのです。それは、中米の奇跡ともいえるものでした。
機は熟した。
2025年、ついにエルサルバドルの地に降り立ちました。首都サンサルバドルの空港は、ラテンらしい活気に包まれ(本当に10年前は世界最悪の殺人発生率の国だったのか・・・?)と、ただただ、そこに広がる、中南米でよく見かけるラテンで安全な雰囲気に拍子抜け。。。でも、クルマで移動中、現地のパートナーに言われました。

「セニョール・コバヤシ、信じられないかもしれないけど、こうして移動中も普通に襲撃受けたりしていたんだよ。特にコーヒーが栽培されるような地方部はね」
確かに、コーヒー農園の玄関口ともいえる町では、住居や商店の窓すべてが鉄格子。


僕も世界中を旅してきたので、これが何を意味しているのかは分かります。
そして、いざ、農園へ。

場所は、首都サンサルバドルからクルマで西へ2時間ほど。隣国グアテマラとの国境地帯であるサンタ・アナ。治安はもちろん改善されたわけですが、貧富の差はまだまだ残ります。農園を歩いていると、同じ中米でも他国のコーヒー農園ではなかなか見かけない、小さな子どもの姿も。

聞くところによると、収穫期には子どもも働き、家族総出で生きていくための収入を得るのだとか。農園にいる子どもたちは、それでも笑顔を絶やさない。なぜなら、未来は明るいから。
もちろん、彼らの未来が急激に明るくなることはないでしょう。でも、これも大きな進歩なのだ、そう、現地で生産者さんに説明を受けました。そんな現地で、生産者さんと一緒に飲んだ一杯のパカマラのコーヒー。
同地の火山性土壌の生み出す酸味と、口に残る爽やかさ。それはまるで、苦難の末に明るい未来へ徐々にですが進みつつあるエルサルバドルそのもの。

中米エルサルバドル、サンタアナ地区からUPEPOがお届けするパカマラのコーヒー。エルサルバドルの近年の歴史を一杯のコーヒーに凝縮したような味わいです。
現地でいま吹いている風を、コーヒーを通じて是非皆さんとシェアできれば、と思っています。
バイヤー小林邦宏