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《スタッフコラムNo.36》メキシコの古代遺跡 – Written by Tomoko

2024.09.20

ピラミッドといえば、エジプト・ギザの三大ピラミッドが有名ですが、実はエジプト以外の世界各地にも「ピラミッド」と呼ばれる古代の巨石建造物が存在するのをご存知でしょうか。

メキシコの古代都市「テオティワカン」もそのひとつ。メキシコの中央高原で紀元前2世紀頃から紀元後6世紀頃まで栄えた文明で、「太陽のピラミッド」「月のピラミッド」を含む遺跡群が残されています。

テオティワカンのピラミッドは、全体的にはいわゆる典型的な四角錐なのですが、斜面の途中が所々引っ込んでいて平坦な部分があり、段々が重なっている特徴的な形をしています。

遺跡に併設されている博物館には、遺跡の全容が見渡せるジオラマ模型が展示されているのですが、中央を貫く大通りを軸に碁盤の目のように整然と配置された設計には、高度な技術と知識が駆使されたことを感じさせられます。ピラミッドの向きも、一年の一定の日に太陽が頂点に来て正面に沈むように位置されているなど、天文学的な意味があるとか。

(手前が「太陽のピラミッド」、右手奥が「月のピラミッド」、それらをつなぎ南北を貫くのが「死者の大通り」)

そして博物館でジオラマを眺めていると、なんと窓から本物の「太陽のピラミッド」が借景で姿を現すという粋な計らい。

いやがおうにもこれから登るピラミッドへの期待が高まります。

え?登る?

そうです、テオティワカンのピラミッドは「登れるピラミッド」なのです。中でも「太陽のピラミッド」は登れるものとしては世界最大らしい。

さあこれからピラミッドに登ろうと麓から見上げると、頂は高く遠く、斜面は急。階段が付いているのは親切設計ですが、200段以上あり、これをひたすら上っていくのです。

手すりにつかまらないと危ないくらいの急勾配で、しかもこの数珠つなぎの登攀者、ひとりが転げたら全員巻き添えで転がり落ちるパターンでしょう。責任重大。

ちゃんと注意喚起の看板もあって、①上り下りは単独で、②ただし子供は大人同伴で、③大きい荷物を持たない、④健康に不安がある人はご遠慮ください、とあります。

実際、テオティワカン遺跡は標高が高い場所にあるので空気が薄く、階段を上っていると息が切れます。でもそれらの苦労を乗り越え、頂上まで辿り着いた時の達成感といったら。

(「太陽のピラミッド」から臨む「月のピラミッド」)

頂上から遺跡を見渡すと、空を走る雲が遺跡に影を落とし、その影が風と共に遺跡を横切っていきます。雄大な光景の中で人々が豆粒のように見えます。

(「月のピラミッド」から臨む「太陽のピラミッド」と「死者の大通り」)

また「太陽のピラミッド」の頂上点には、小さな丸い銀色の金属の目印があり、これを触るとお守りになるというパワースポットとしても知られています。

そして山歩きでは「下山の方が危険で困難」と言いますが、テオティワカンのピラミッドも「下りが怖い」。膝が笑ってしまうので一段一段、ゆっくり降ります。

そうして下界に戻った私達は「ピラミッドに登りし者」という称号を手にするのです。

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テオティワカン遺跡は、現在のメキシコシティーから50kmほど北東の郊外にあり、市街から車で日帰りも可能な距離にあります。

ただ残念なことに、新型コロナウイルス感染症のロックダウンによりテオティワカンの遺跡は一時封鎖されてしまい、その後、感染者数が落ち着くにつれて遺跡には再度入れるようになったものの、ピラミッドにはまだ登れないようです。

今となっては貴重な体験になってしまいましたが、近い将来の再開を願うばかりです。

なお、併設の博物館には、前述のジオラマ模型の他、遺跡からの発掘物なども展示されており、歴史好きの方はそれだけでも楽しめると思います。


by スタッフTomoko