《スタッフコラムNo.35》「あま」、それは浪漫を感じるもの。ーWritten by 松下
2024.09.069月がいきなり秋を連れて来ましたね、就寝時の空調の稼働音が若干恋しくなる、松下です。
さて、今回の松下回のテーマは「あま」のこと。あまいもの、のことですが、私の生まれ故郷、長崎には、
「あまんとおか(あまが遠い)」
「長崎んとおか(長崎が遠い)」
という方言があります。意味は、「甘味が足りない」。かつて日本で唯一、世界にその扉が開かれていた長崎には大量の砂糖がもたらされていました。言葉の中に、その歴史が残っているのです。
甘口醤油があったり、煮物がこっくりと甘かったり、野菜炒めに砂糖を投入する家庭もあるなど、長崎県民の砂糖消費量は多い、と言われています。生粋の長崎っ子の私は、「あま」にはちょっとうるさい。
そんな私が好きすぎる砂糖菓子をご紹介します。
「みすず飴」長野 みすず飴本舗
日本が世界に誇る砂糖菓子と言えば、これ(松下調べ)。果汁、水飴、グラニュー糖、寒天というシンプルな原材料で作られた長野県の乾燥ゼリー。
このコラムでもちょくちょく登場するスタッフMiwa(ミワ)は信州ジェントルマン。ミワが実家に帰省するような気配を察知すると、私はソソソ…と背後から近寄り、「ミワ…実家帰るのん?」「(ギョッと驚く)あ、は、はい」「…ふぅ~ん…ニヤッ…」ソソソ…と立ち去る。というやり取りをしては、非言語コミュニケーション能力に長けたミワからまんまとみすず飴をゲットする、これはパワハラでしょうか。
「琥珀 柚子」京都 永楽屋
ひとつを指先で持った時の重み、かしゃりと噛んだ時の舌触り、鼻にふうわりと抜けて行く柚子の香り。何から何まで上品な琥珀糖。アイシーなビジュアルはもちろんのこと、包まれているフィルムの表と裏の質感が違うところなど、どれだけこの琥珀糖のことを考えて作っているのだろう、と、その職人魂に心が震える逸品。
「シュガーボンボン」イタリア ジェノヴァ
創業してから244年にもなるイタリア ジェノヴァの老舗砂糖菓子専門店、「ピエトロ・ロマネンゴ」のシュガーボンボン。「いたいけ」という言葉がしっくりくる、小さくて、可愛くて、儚い。かしゃりと鳴った途端、そっと広がる色々なリキュールの香りと砂糖の甘み。いたいけなくせに、一粒の存在感がとても大きい。
かつて、列車旅が一般的だったころ、このシュガーボンボンがひとつ、ポケットに入っている人も多かったとか。シュガーボンボン、とても浪漫的です。
ひと包みの、ひと粒の甘いものが、心の緊張をゆるめてくれる。大阪のあめちゃん文化が実証しているように、砂糖には不思議な力があります。
そろそろお開きですが、もうひとつ、私のいちおしを記しておきます。これらの砂糖菓子、実はお酒にも合います…!順に、ウィスキー(みすず飴)、日本酒(琥珀糖)、ワイン(シュガーボンボン)。飲み過ぎによる低血糖も防いでくれるので、二日酔い防止にも是非。
スタッフ松下